プライド

お客様との会話で前からよく思うことがある。
この美容業界はものすごく閉ざされた業界だという事だ。
だいたいの方が美容学校を卒業して資格を取ればカットやカラーなどができると思っている。
これは僕にとっては割とショックな事実だ。
新卒生は何もできない、あいさつだってできない。すべてサロンで手とり足とり教えるのだ。
中途採用者であっても、natural high senseでは

よそからスタイリストを採用してそのままお客様を担当させるという事はまずない。
雇うのはアシスタントかジュニアスタイリスト、
他のサロンでやっていた仕事ももう一度チェックしてダメな場合はまた練習してチェックし直してもらっている。
そうしないとレベルがバラバラで統一したサービスが提供できないからだ。
もちろんきちんとした技術をもっていればカットだってすぐにやってもらいたい。
だがいままでそんな人はほとんどいないのが現実だ。

この前も30代のスタイリストが面接に来てウィッグ(首から上の練習する人形)でいくつかカットしてもらった。

なんでも彼女は前の店ではトップスタイリストで後輩にカットを教えていたという。
だが結果はひどかった。切る順番、切り方、理論がまるで解かっていない。
うちのジュニアスタイリストと同じスタイルを切ってもらったが100%こっちのほうが上手いし解かっている。
「どうしてこうやって切ったの?」と聞いても
「なんとなくです。」と答える。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
僕は彼女に伝えた。
「君をスタイリストで雇う事はできない。
 でも君がもし本気で仕事を覚え直すなら、うちらは協力はおしまないよ。どうする?」
結局彼女は来なかった。
後日ネットで彼女が他のサロンでスタイリストとして働いていることを知った。


これが最近の美容業界の普通。
ここ数年スタイリストの面接でまともに切れている人を見たことがない。これは僕の仲間のオーナー達からもよく聞く。安売り店や面貸しが増えた影響だ。

巨大な広告コストをかけて大量に新規客を呼び、教育もしてない雇ったスタイリストにそれをやらせる。

美容師の力で呼んでるわけではない。
教育コストと速戦力の問題からなんとなくできていればやらせてしまう。
なぜか本人も出来ていないのを知っていながらやっている。

それでもやっぱりアシスタントよりスタイリストの方が待遇がいいからだ。
でもなんかおかしくないか?
これで誰が得して誰が幸せなんだ?

誰も幸せにならないんじゃないか?

natural high sense はそんな事は絶対にしない。
なぜなら、自信を持ってデビューさせれるだけの厳しいチェックをしているから。
僕たちは自分達の技術に魂とPRIDEを懸けている。
気持ちよくお客様から料金を頂くために、約3年毎日遅くまで練習しやっとの思いで頂ける大切なお金。
スタッフが少ないからと出来ていないスタッフに仕事は絶対にやらせない。
それなら店を無くしたほうがまだましだ。
お客様やスタッフ、何より自分を裏切ることはしたくない。
そんなの美容師やってる意味がない。オーナーやってる意味がない。
効率や売上だけでなく、時間をかけ、しっかりと人を育てPRIDEを持って仕事をする。
そういう努力をしつづける。

それが natural high sense PRIDE

オーナー 佐伯